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掲載日:2025.10.6
最終更新日:2025.10.10
引退後はスタディプラスで数値を取るフォワードへ、そして数値を取らせるマネージャーへ。課題に向かう姿勢が拓いた次のキャリア【後編】
プロサッカー選手(フォワード)として、FC岐阜をはじめ3チームでプレーした瀧谷亮さん。現役引退後は営業職へとキャリアを転向し、2021年から、学習管理アプリ「Studyplus」を運営するスタディプラス株式会社で大学広告営業を担当しています。サッカーで得た学びや経験が、営業の仕事にどう活きているのか。成果を残していくために何をどう考えたのかを伺いました。
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INTERVIEWEE
瀧谷亮(スタディプラス株式会社・アカウントプランナー)
interviewer / writer:Rumi Tanaka
挫折続きのプロ選手生活から営業職への転向

前編はこちらからご覧ください。

 

FC岐阜でプロサッカー選手としてのキャリアをスタートさせた瀧谷さん。念願のスタート地点に立ったものの、その後の選手生活は「挫折しかなかった」と振り返る。

 

1年目は試合に出られたもののチームの連敗を止められず、2年目には監督が交代となり出場機会が激減。練習の中では成長の手ごたえを感じていただけに、それを発揮できる機会がないことに苦しさが募っていった。

J2リーグから始まった選手人生だったが、2度の移籍でJ3リーグ、JFLとカテゴリを落としていった。さらには怪我が重なり身体はボロボロ。「再び這い上がっていける可能性」の低さに冷静に向き合い、引退を決めたという。

 

引退後の初めての就職活動では、右も左もわからない中、名の知る企業を片っ端から受けては落ちていったと話す瀧谷さん。営業職が向いているかもしれないと思えたのは、自己分析に時間をかけ、それまでの人生を振り返るようになってからだった。

 

 

「ある転職エージェントと出会い、『まずは自分を知ることから始めませんか』とアドバイスをもらい、自己分析に何十時間もかけるようになったんです。

 

これまでの人生で起こった印象的な出来事や、感情を揺さぶられた経験を一つ一つ振り返っていくと、メンバーと協力し合って何かを成し遂げることが好きだったり、フォワードとしてチームの思いを背負って点を取りに行く、という役回りにモチベーションを感じていたりすることに気付かされました。無意識に取っていた行動を言語化し、それらが自分にとってどんな意味や価値があったのかを理解できるようになった。すると、営業職は、点を取る(受注を獲得する)という目に見える形で目標を達成する仕事であり、自分にもっとも適しているのではないかと思えるようになりました。」

瀧谷が自己分析に使用していたノート(本人より提供)
サッカーで培った原因分析力と改善に向けた行動力が営業としての強みになった

2021年に入社したスタディプラス株式会社では、大学への広告営業を担当。西日本グループのマネージャーとしてメンバーを束ねる立場になっている。

 

「サッカー選手時代は、ひたすら練習や試合を振り返り、プロセスを分解して次の改善点にどう活かすかを考えていました。例えばフォワードとして『試合で点を取れなかった』のなら、シュートに向かうまでのプロセスに問題があったのか、シュートの質自体が低かったのかを分析します。シュートに行く過程に問題があったのなら、そこにフォーカスしたトレーニングを組み立てますし、得点力に課題があるのならひたすらシュート練習を重ねる必要があります。原因によって、当然ながら次に取るべき行動は変わってくる。営業でも、この“分解して考える力”は大いに役立っていると感じています。」

 

営業に置き換えると、例えばテレアポでなかなかアポイントが取れないのであれば、リストの質に問題があるのか、電話をかける量に問題があるのか、あるいは電話で話す内容に問題があるのか。順調にアポを取れている先輩らと自分を比較し、敗因を分析していったという。話す内容に改善点がありそうだと思えば、先輩の電話口にレコーダーを置かせてもらい、それを聞いては真似していったというから、その向上心の高さに驚く。しかし瀧谷さんにとっては、「シュートがうまい先輩をお手本にするのと同じで、当たり前のこと。」なのだという。

「営業として目標数字を持っている以上、そのゴールを達成していく責任がある。そこにたどり着く手段には、いろんなやり方があると思うのですが、僕にとっては、うまくできている人の真似をするのが一番の近道なんです。」

 

サッカーを始めた頃から、ロールモデルにしてきたのが本田圭佑さんだった。あるインタビューで「人生に失敗はない。失敗ではなく、次に活かすための実験だ。」と話していたのを見て、そのポジティブな考え方に感銘を受けたという。

 

「営業を始めた当初は、商談に進む以前のアポイントすらまったく取れませんでした。社会人としての基礎力も営業スキルもゼロベースでしたが、僕には、できなかったで終わらせずに、行動を細かく振り返り、どうすれば次はうまくいくのかを考えるクセがついていた。だから、一歩一歩成長できて今があるのだと思っています。」

サッカーで培ったスキルは、ビジネスで応用できるセカンドキャリアの一例として発信を続けたい

現在は仕事の傍ら、大阪府一部リーグに所属するチームでサッカーを再開しているほか、7人制サッカー「ソサイチ」でもプレーヤーとして活躍しているという。

 

一度離れたサッカーに再び向き合い、自分自身の変化も感じている。

 

「受け手を考えた発信をしようという意識は、営業とマネージャー職を経験し格段に上がりました。サッカーをしていると擬態語を多用する人がたくさんいるんです。『(ボールを)ポンと置いて』とか『シュッと出して』とか(笑)。でも、ビジネスの世界でそれは通用しない。視覚的なものも、誰もが分かるように言葉にして伝える必要があります。今では、『10メートル間隔で距離を取って三角形を作ろう』など、定量的に理解できるような表現を使い、チーム内でコミュニケーションをはかるようにしています。」

 

言語化が難しいときには、ボードに図を描いて共有し、どこまで理解しているかを確認するような会話も重ねている。

「マネージャーになったことで、自分がどう伝えたかではなく、相手にどう伝わったのかが大事なのだと学びました。ビジネスとサッカーの共通点の多さを実感しています。」

 

サッカーを通じて成長し、そこで得た考え方や動き方をビジネスに活かして活躍を続けてきた。だからこそ、同じようにスポーツの世界からビジネスへとキャリア転向しようとしている人たちへ、自分が一つのケースになっていければいいと瀧谷さんは話す。

 

「引退を決めたときは、サッカーしかやってこなかった自分に何ができるのか、キャリアの道筋がまったく見えていませんでした。でも、それまでの人生について時間をかけて振り返ることで、自分はどんなときに喜びや悲しみを感じるのか、どんな場面で強みを発揮できるのかだんだんと理解できるようになりました。

 

そして、いざ外に出てみたら、サッカーで培ったスキルやマインドセットには、ビジネスに応用できるところがたくさんあると分かったんです。これからは、僕自身の経験をより発信することで、誰かの背中を押すことができればいいなと考えています。」

 

瀧谷亮(たきや りょう)

1994年生まれ。大阪学院大学卒業後、FC岐阜へ加入。カターレ富山、ラインメール青森FCへの移籍を経て、2020年に現役を引退。2021年にスタディプラス株式会社へ入社。大学広告営業西日本グループのマネージャーを務めている。

CREDIT
interviewer / writer : Rumi Tanaka
director / editor : Yuya Karube
assistant : Makoto Kadoya / Naoko Kamada / Hinako Murata
SPECIAL THANKS
両親
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