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掲載日:2023.3.2
最終更新日:2023.10.17
【後編】シティフットボールグループの求人情報から見えるトップレベルで働くための4つの力
この記事ではサッカープレミアリーグ王者のマンチェスターシティを筆頭に10つのクラブを持つシティグループのスタッフの求人情報を見ながら、スポーツ業界のトップレベルで働くために必要なこと、そしてその高みに挑戦するためには今の環境でどうしていくと良いかを紹介していきます。 後編では、前編で挙げた能力に加え、CFGが要求するさらに2つの能力について考えていきましょう。
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writer:Yuya Karube
CFGの求める人材が持つべき力とは:③コミュニティをリードする力

前編の記事はこちらからご覧ください。

この能力はスポーツビジネスの特徴的な能力かもしれません。スポーツビジネスは地域と密接に関わっています。その中でどのようにコミュニティと関わり、価値を提供し、ビジネスとして成り立たせるのかということは、非常に重要なテーマです。

実際の求人情報を見ていきましょう。

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【基本情報】

  • 役割の名前:コミュニティコーチ – 小学校(Community Coach – Primary Schools)
  • レポートライン:学校役員(Schools Officerd)
  • 部門:シティ・イン・ザ・コミュニティ財団(City in the Community Foundation)

【目的】

  • 1986年に設立されたシティ・イン・ザ・コミュニティ財団(以下、CITC)は、マンチェスター・シティFCの登録慈善団体で、母体となるクラブのブランドを利用して、健康、教育、育成を中心とする受賞歴のあるプログラムを提供しています。これらのプロジェクトは、毎年マンチェスターの3万人以上の人々の生活に関わり、影響を与えています。 この仕事の目的は、グレーター・マンチェスターの小学校とSENDの学校で、プレミアリーグプライマリースターズプログラム(以下PLPSプログラム)を提供することです。このプログラムでは、ナショナルカリキュラムの体育、ターゲット介入、PSHE、社会貢献プロジェクト、SEND体育の授業、教師のCPD、教育ワークショップ、サッカーに基づいた英語と数学のワークショップなどを提供します。

【責務】

  1. グレーター・マンチェスターのさまざまな小学校とSENDスクールに、PLPSプログラムを提供します。提供されるトピックを通じて、生徒と教師の自信と能力を高めることに重点を置く。
  2. スクールスポーツオフィサーと協力し、質の高いプログラムの企画と実施をサポートします。
  3. PLPS プログラムに関連して設定された KPI と成果の進捗と報告に責任を持ち、パートナー校との強い協力関 係を開発、維持、拡大する。
  4. 学校との長期的なパートナーシップを維持するために、すべての教職員および学校内の主要な連絡先と優れた協力関係を築き、維持すること。
  5. CITC のセーフガードに関する方針と手順が、チーム全体に最高水準で浸透していることを確認する。セーフガーディングの実践と原則が遵守され、枠組みに対する法的・道徳的義務が果たされるよう取り組む。
  6. CITC と CFG の方針と手順がチーム内で遵守されていることを確認し、違反があれば適切にエスカレーションを行う。

【不可欠な知識・スキル・経験】

  • サッカーのレベル2コーチングサーティフィケート
  • 数学と英語のA-C GCSEまたは同等レベル
  • 子どもや若者、または地域社会のさまざまなグループと仕事をした経験、学校での指導経験、および国のカリキュラムに沿った指導経験があること。
  • グループのニーズを満たす、質の高いコーチング/教育セッションを計画し、提供した経験
  • マイクロソフトオフィスを使いこなせること
  • 優れたコミュニケーション能力(口頭・書面両方)
  • 創造的で、継続的な改善に対する情熱があること
  • 変化に対する回復力と順応性
  • 優れた包括的なチームワークの能力
  • 運転免許証

【望ましい知識・スキル・体験】

  • 他の関連するスポーツのコーチング資格、特にレベル2のマルチスキル
  • 体育と学校スポーツのサポートにおけるL3サーティフィケート
  • 関連分野(教育、スポーツ、コーチング)の学位レベルの教育を受けた者
  • シティ・イン・ザ・コミュニティ財団とそのプロジェクトに関する理解
  • ブランド環境での仕事に関する経験と知識、およびプレミアリーグフットボールクラブの代表としての責任を理解していること。
  • 教師の専門的な能力開発に携わり、教師のCPDワークショップを実施した経験
  • 教室での指導経験
  • 外部組織との関係構築と内部パートナーシップの維持の経験
  • 優れたコミュニケーションとモチベーションのスキル
  • モチベーションマネジメントの経験

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サッカーに基づいた英語と数学のワークショップとは、一体どのようなものなのでしょうか。とても興味が湧きます。CFGではこのように、地域貢献のために積極的な活動をしており、小学校だけでなく、他の施設での活動も行っています。

 

City in the Community公式ページ

 

ちなみにシティ・イン・ザ・コミュニティ財団は1986年からある慈善団体です。社会的責任を果たすために作られ、以下のことを目的にしています。

  • セッションの中心に肉体的かつ精神的な健康を置き、健康な人々を育てること。
  • 教育と雇用機会を通じて健全な未来を築く。
  • 安全で整った環境で健全なコミュニティを生み出し、人々を結びつける。

このジョブディスクリプションでは、コミュニティに根ざした仕事だけあって、「子どもや若者、または地域社会のさまざまなグループと仕事をした経験」や「外部組織との関係構築と内部パートナーシップの維持の経験」「優れた包括的なチームワークの能力」「優れたコミュニケーションとモチベーションのスキル」など、コミュニティ運営に欠かせない能力を求められています。

 

目的を達成し、成長していくグループとどのように関わることができるのかという点は、なにもこの役割だけで求められていることではありません。

次に、CFGの写真を統括するフォトグラフィーリードのジョブディスクリプションを見ていきましょう。

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【基本情報】

  • 役割の名前:フォトグラフィーリード(Photography Lead)
  • レポート対象:編集長
  • 部門:グループマーケティング&メディア
  • 課:コンテンツメディア

【目的】

  • 私たちのフォトグラフィーチームは、マンチェスター・シティのストーリーに命を吹き込み、世界中のファンにクラブで日々行われていることを理解してもらうために、日々活動しています。 フォトグラフィーのリーダーとして、グループ全体にベストプラクティスのアドバイスや知識を提供する専門的な役割を担います。マンチェスター・シティのすべての写真コンテンツとプロジェクトの計画、設計、実施を管理します。 マンチェスター・シティの歴史を守り、サッカーと写真の力を使って、デジタルプラットフォーム上でサポーターと関わり、高品質な画像を提供することを目指します。専門知識とベストプラクティスの枠組みを提供し、社内外の関係者とともにプロジェクトの芸術的アプローチに影響を与え、クラス最高のものを実現するために革新とテクノロジーの最前線に立つ。

【責務】

  1. マンチェスター・シティのイメージの配信をリードし、エディトリアル、ビデオ、グラフィック、ソーシャル・メディアの各チームに、サッカークラブのあらゆる側面をカバーする高品質の写真を確実に提供すること。
  2. 監督、選手、コーチ、選手の代理人と協力関係を築く。メンズ、ウィメンズ、EDS、U18の各部門を横断し、日次、週次、月次、年次計画でリードする。
  3. 特別なメディアプロジェクト(新規契約、契約更新、クラブの重要なマイルストーン、記念日、BHM、IWDなど)をリードし、編集、ビデオ、グラフィック、ソーシャルメディアチームなどのクリエイティブチームと協力し、すべてのプロジェクトが最高水準のビジュアルで提供されるようにする。
  4. マンチェスター・シティの写真作品をデザインし、クラブの編集基準やブランド価値を満たすような作品を提供する。 試合のライブ中継をサポートするフリーランスのジャーナリストを組織し、管理する。 コミュニケーション部門と協力し、外部メディアのフォトグラファーに試合へのアクセス権を付与する。
  5. フォトグラフィーリーダーは、マンチェスター・シティの写真専門家として、ベストプラクティスの観点からシティ・フットボール・グループ全体のフォトグラファーを教育し、外部の会議やイベントで堂々と発言できるようにすること。 外部のサプライヤーや代理店との関係を管理し、協力的かつ効果的に要件を満たすことができるようにする。
  6. マンチェスター・シティの写真コンテンツ、プロセス、慣行の定期的な見直しを計画、実施し、改善の機会を特定する。 マーケティング、リテール、CITC、Cityzens Giving からの内部リクエストを管理し、すべての要件が満たされていることを確認する。 社内外の関係者と効果的にコミュニケーションをとり、強い関係を築き、写真に関する技術的な知識を活用し、プロジェクトやアウトプットに影響を与える。
  7. 編集長をサポートし、出版パートナーから発売される書籍の編集を行う。
  8. マンチェスター・シティが、芸術的・技術的革新を推進することにより、クラブサッカー写真の最前線であり続けるようにする。外部のトレンド、技術、イノベーションを監視し、私たちのサービスを向上させ、クラス最高とみなされるようにする。

【不可欠な知識・スキル・経験】

  • 速いペースで進むニュースデスクでの5年間の関連経験。
  • マンチェスター・シティに関する専門的な知識(男子、女子、EDS、U18)。
  • 世界のスポーツ界における写真撮影のトレンドに関する専門的な知識。
  • マンチェスター・シティの元選手、監督、スタッフとの優れたコンタクト
  • 試合のライブファイル配信、Adobe Photoshop、Adobe Lightroom、DAMシステム、FTP転送の使用経験があること。
  • スタジオライティングとハイエンドなコマーシャルフォトの専門的な知識。
  • 非常に効果的な組織力
  • パートナーや潜在的なパートナーへの売り込みの経験がある。
  • 時間的制約のある中で、迅速にブリーフを調整する豊富な経験
  • 非常に効果的な問題解決者
  • 複数の拠点で複数の概要をカバーするフリーランサーのチームを率いた経験

【望ましい知識・スキル・経験】

  • BaHons以上の写真に関する資格
  • Caption Pro、Googleフォト、Keynoteの使用経験あり。
  • ビザの異なる国への渡航、機材チェックインの経験。
  • ポストプロダクションにおけるフィルターやプリセットの知識。
  • キヤノン、ソニーなど様々なカメラオペレーティングシステムに関する知識
  • 様々なジャンルのスポーツの経験。

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この仕事、すごく楽しそうですね。確かにマンチェスターシティのSNSはクリエイティブが非常に優れており、そのクオリティは洗練されています。

ここでも、監督、選手、コーチ、選手の代理人との協力関係や、シティ・フットボール・グループ全体のフォトグラファーを教育し、外部の会議やイベントで堂々と発言できるようにすること、複数の拠点で複数の概要をカバーするフリーランサーのチームを率いた経験など、多種多様な人材を共通の目的のためにコミュニティ化しリードしていくことが求められています。

CFGの求める人材が持つべき力とは:④最高水準を追い求める力

 

最高水準、ベストプラクティスという言葉は何度もCFGのジョブディスクリプションの中に出てきます。関連するワードとともに抜粋してみました。

 

  • CFGとMCFC(マンチェスターシティフットボールクラブ)の方針、法律、環境、認証機関のコンプライアンスとベストプラクティスに沿って、すべてのMCFC拠点で最高水準の高品質な保守サービスを提供する。( Skilled Maintenance Operative-Electricalの目的より抜粋。)
  • セーフガーディングポリシーと手順が、チーム全体に最高水準で浸透していることを確認すること。セーフガーディングの実践と原則が守られていることを確認し、フレームワークに対する法的・道徳的義務を果たすよう努める。(Community Coach – Outreachの責務より抜粋)
  • 特別なメディアプロジェクト(新規契約、契約更新、クラブの重要なマイルストーン、記念日、BHM、IWDなど)をリードし、編集、ビデオ、グラフィック、ソーシャルメディアチームなどのクリエイティブチームと協力し、すべてのプロジェクトが最高水準のビジュアルで提供されるようにする。(Photography Leadの責務より抜粋)
  • マンチェスター・シティが、芸術的・技術的革新を推進することにより、クラブサッカー写真の最前線であり続けるようにする。外部のトレンド、技術、イノベーションを監視し、私たちのサービスを向上させ、最高水準とみなされるようにする。 (Photography Leadの責務より抜粋)
  • トレーニング、チーム、個人のベストプラクティスビデオライブラリーの開発および管理に貢献する。(Performance Analyst – EDSの責務より抜粋)

 

ここで言われる「最高水準」とは決して「数学のテストで1位を取る」といったことではありません。答えのあるテストの中で1番を取ることとは異なり、「答えのない世界で理想的な状態を率先して思い描き、実現させていくこと」が求められています。

 

これは常にアスリートにとっての「最高のパフォーマンスをすること」と似ています。用意された環境、自分のコンディション、対戦相手の情報、試合の流れ、その中で今どのパフォーマンスが「最高」となり良い結果をもたらしてくれるのか。

 

アスリート人材にとって「最高水準を追い求める力」は武器になる能力であり、現役の頃にどのように考えて取り組んでいたのかを内省することをお勧めしたいです。

今の環境でどのような責務を追っているのか、これから追うのか

 

以上、4つの能力に焦点を当てて求人情報を見ていきました。CFGのジョブディスクリプションを見ると、どの領域においても非常に高いレベルの人材を求めていることがわかります。そして、全ての仕事がとても魅力的でチャレンジングなものだということも伝わったかと思います。

 

現役を引退してすぐにこれらの職に就くことはなかなか難しいことです。しかし、これからどのようなキャリアに身を置いて、そこでどのような経験を積むべきかというイメージが少しでも湧いたのではないでしょうか。例えば、スクールでスポーツを教える時を考えてみましょう。生徒にただ教えるのではなく、「スクールがどのようなコミュニティになれば最高水準と言えるのか」「そのために何ができるのか」を考え、実行することは偉大なキャリアの第一歩であると思います。

大事なのは、今の環境で自分がどのような責務を追っているのかを理解し、それを最高水準に持っていくためにはどうすればいいのか考え、より大きな責務にチャレンジしていくことです。

 

アスリート人材は、偉大なキャリアを築き、チャレンジするための資質を持つ可能性が高い人材なのだと信じています。

CREDIT
writer:Yuya Karube
editor : Takushi Yanagawa
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